インプラント治療のリスク

     

    インプラント治療は歯の代替手段として非常に効果的である一方で、手術的な介入が伴うため、いくつかのリスクが考えられます。
    また、インプラントを埋入する部位や患者さまの状態によっても治療のリスクは異なりますので、考えられるリスクについて正直にお伝えいたします。

     

    部位で異なるインプラントのリスク

    インプラント手術は、インプラントを埋入する箇所によっても、さまざまなリスクが考えられます。

    上顎の場合

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    インプラントを治療を行う上で大切なポイントとなるのが、インプラントを埋め込もうとする箇所の骨の厚みです。

    一般的にインプラント治療では、長さが10mm以上のインプラントを骨に埋め込みますので、骨の厚さも10mm以上の厚みが必要となります。
    ですが、上顎には上顎洞(上顎副鼻腔)と呼ばれる、鼻腔と繋がった空洞があるため、インプラントを安定させるためにギリギリまで埋め込もうとすると上顎洞を突き破ってしまい、上顎洞炎という感染症を引き起こしたり、インプラントが上顎洞の中に迷入してしまうリスクがあります。

    また逆に上顎洞を突き破ってしまうことを恐れてインプラントを浅く埋め込んでしまった場合、インプラントが安定せずに寿命が短くなったり、審美性が損なわれてしまうというリスクもあります。
    これらのリスクを排除するためにも、上顎にインプラントを埋入する際には事前に3D画像診断(CTスキャン)を行い骨の量や質、上顎洞の位置などをより正確に把握したうえで、安全かつ確実に治療を行うことが出来るシミュレーションガイドを用いて手術を行うことが推奨されます。

    →インプラントの失敗例:蓄膿症(副鼻腔炎/上顎洞炎)を起こした

     

    下顎の場合

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    下顎には、「下顎管」と呼ばれ管があり、その中には下歯槽動脈、下歯槽静脈、下歯槽神経といった大きな血管や大切な神経が入っています。

    インプラントを埋入する際、誤ってこの下顎管を損傷させてしまうと、動脈から大出血が生じ血が止まらなくなってしまったり、神経が麻痺して頬や下唇の感覚が鈍くなってしまうといった後遺症を発症させてしまうこともあります。

    それでも、神経が完全に切れていない場合は長い年月をかけて徐々に麻痺は回復していきますがピリピリとしたシビレが残ってしまったり、「神経障害性疼痛」という難治性の痛みを発症してしまうケースもあります。

    下顎のインプラント埋入にあたっては、過去には出血多量による死亡事故も発生しています。 こういったリスクを排除するためにも、上顎へのインプラント埋入と同様、事前に3D画像診断(CTスキャン)を行い骨の量や質、上顎洞の位置などをより正確に把握したうえで、安全かつ確実に治療を行うことが出来るシミュレーションガイドを用いて手術を行うことが推奨されます。

    →インプラントの失敗例:(痛みや腫れ、しびれなどの症状が継続している)

     

    前歯の場合

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    インプラント治療に限らず、前歯の歯科治療において非常に重要になるのは審美性の確保です。
    歯の色や形、透明感など、天然の歯と見分けのつかないような自然な歯を作るには、歯科医師と歯科技工士の高い技術が必須です。

    また、インプラント治療においては、前歯部分は奥歯部分に比べて骨が少なく、厚みも薄いケースが多くあるため、インプラントの金属部が露出してしまうことがあります。
    手術直後はキレイであっても、歯肉退縮で歯茎が下がることによってインプラントが露出してしまい、審美性が悪化してしまうケースもありますので注意が必要です。

    こういったリスクを排除するには、歯の色や形、使用する材質などについて事前にしっかりと歯科医師と相談をし、どのような治療結果になるか納得した上で治療を開始することが重要です。
    また、治療後も歯肉退縮などのリスクを避けるため、メンテナンスは欠かさないようにしましょう。

    →インプラント歯周炎

     

    治療リスクの高い人

    インプラント治療を行う上で、そもそも失敗してしまうリスクの高い方もいらっしゃいます。
    状況によっては、インプラント治療が適応できない場合もございますので、特に下記のような習慣や疾患のある方は、事前に担当の歯科医師としっかりを相談するようにしましょう。

     

    タバコを吸う習慣がある方

    喫煙者の場合、インプラント治療に失敗してしまうリスクが高まります。
    喫煙による失敗リスクの理由としては下記のことが挙げられます。

    • 喫煙により白血球の活動を抑制され、免疫力が下がることで感染症のリスクが高まる。
    • たばこの中に含まれるニコチンの作用により毛細血管が収縮されて血行が悪くなり、インプラントと骨が癒合 しにくくなる。
    • 喫煙により唾液が減少することでお口の中の細菌が増え、インプラント歯周炎を引き起こしやすくなる。

    喫煙者は非喫煙者に比べてインプラント手術の失敗率が10パーセント以上高まるというデータもあります。
    また、喫煙は体の健康を考えても決して良い習慣ではございませんので、なるべく本数を減らし、習慣の改善に努めることも大切です。

     

    歯ぎしり、食いしばりの習癖のある方

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    歯ぎしりがひどい方の場合、手術自体が成功したとしても、日々加わるその強い力によってインプラントが破損してしまう場合があります。

    インプラントは骨にしっかりと埋め込まれており、上下にかかる力には非常に耐久性が強いのですが、歯ぎしりのような横に揺さぶられる力が強く加わると、破損をしてしまったりセラミックが割れてしまったりします。
    そのため、強い歯ぎしりの習癖のある方の場合はインプラントを歯ぎしりから守るためにも、睡眠時に「ナイトガード」と呼ばれるマウスピースを装着して歯を保護してあげることが推奨されます。

    また、食いしばりの習癖のある方は行動認知療法などにより食いしばりしている自分を意識し、食いしばりをなくすよう改善していく努力も必要です。

     

    噛み合わせの悪い方

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    もともとの噛み合わせが悪い方の場合、インプラントを入れたとしても、インプラントや一部の歯のみに強い力が掛かってしまうため、インプラントの寿命が短くなったり、ぐらつき、脱落するといったリスクも高くなります。

    また、悪いかみ合わせのままインプラント治療を行うと、将来的に顎関節症を発症してしまったり頭痛や肩こり、不定愁訴などといった全身の健康に影響を及ぼしてしまうリスクもあります。

    噛み合わせの悪さは矯正治療によって改善することもできますが、いったん骨にインプラントを埋め込んでしまうと、その後に矯正治療を行おうと思っても、骨に埋め込まれたインプラントは天然の歯のように動かすことが出来ません。
    そのため噛み合わせが悪い場合には、インプラント治療を始める前に、まずは噛み合わせの治療を行ってからインプラント治療を行うことが推奨されます。

     

    歯周病の症状のある方

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    インプラント治療が失敗してしまう原因として、細菌感染による腫れ・痛み・インプラントの脱落なども挙げられます。
    歯周病の症状がある方の場合、口腔内が既に歯周病菌に感染している状態であるため、そのような環境の中インプラント治療を行っても、インプラントも細菌感染してしまうリスクが非常に高くなります。

    インプラント手術中に細菌感染がおこると、インプラントが骨とうまく結合せずにインプラントが脱離したり、痛みや腫れ、膿が出るなどの症状を引き起こします。
    また治療後も、メンテナンスを怠ると「インプラント周囲炎」という歯周病と同じような症状になってしまいます。

    歯周病の場合は、歯ぐきが腫れたり痛み出たりといった自覚症状がありますが、インプラント歯周炎の場合は、痛みも歯の動揺もないので気が付いたときには症状が進行してしまい、最終的にはインプラント周囲の骨が溶けてなくなりインプラントが抜け落ちてしまうといったリスクもあります。
    歯周病の方は日ごろのメンテナンスも十分に出来ていないケースが多いため、歯周病の方でインプラント治療をご希望される場合は、まずはしっかりと歯周病の治療を行い、日ごろの口腔ケアも改善したうえで治療を受けることをおススメいたします。

     

    骨の厚みや強度・密度が低い方

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    インプラントがぐらついたり、抜け落ちてしまう主な原因として、インプラントと顎の骨がしっかりと結合できていないということが挙げられます。

    インプラントと骨の結合には骨密度や骨質が大きくかかわっており、骨密度が低かったり、骨粗鬆症の人などは、通常よりもインプラント治療にかかる期間が長くなる傾向にあります。
    特に骨粗鬆症の方で、治療薬として「ビスフォスフォネート製剤(BP剤)」というお薬を服用されている方の場合は、薬の影響で骨に細菌が感染しやすくなり、顎の骨が壊死してしまう可能性もありますので注意が必要です。

    このような場合には、ビスホスホネート製剤以外の治療薬に変更してもらったり、一定期間服用を止めてインプラント手術をするといった方法も可能ですが、いずれにしろ医科の主治医とよく相談のうえで治療方針を決定する必要があります。

     

    重度の全身疾患がある方

    全身疾患の既往歴がある患者様の治療には、歯科医師とかかりつけ医との連携が必要不可欠です。
    症状が軽度であれば問題ない場合もありますが、下記のような疾患をお持ちの方は、各疾患の主治医の先生とも相談の上、手術が可能かどうかを判断する必要があります。

    • 心筋梗塞、狭心症などの心疾患をお持ちの方
    • 重度の高血圧。動脈硬化などの血管の疾患をお持ちの方
    • 血小板減少症
    • 重度の貧血
    • 重度の糖尿病
    • 管理の困難な免疫系疾患をお持ちの方
    • 重度の骨粗しょう症
    • その他外科処置等に影響のある疾患をお持ちの方

     

    高齢(80歳以上)の方

    元住吉(川崎市)の歯医者でインプラント治療のリスク紹介

    インプラント治療は、基本的に20歳以上の方であれば高齢の方であっても治療を受けることが出来ます。
    しかしながら、外科手術をともなうために、高齢者の場合はリスクが発生します。

    具体的には、年齢が高いと、どうしても免疫力が低下してしまいますので細菌感染のリスクが高くなります。
    また、インプラント治療後は歯科医院での定期的なメンテナンスが必要となるため、インプラント手術後も定期的に歯科医院に通ってメンテナンスを受けることが出来る健康状態をキープしていただく必要があります。

    また、高齢者の場合は全身疾患によりさまざまなお薬を服用しているケースも多く、場合によってはインプラント治療が出来ない場合もあります。
    インプラント治療に年齢制限の上限はありませんが、体への負担の大きい手術であることに変わりはありませんので、入れ歯やブリッジなど他の治療法も合わせて慎重に検討していただく必要があります。

     

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